ファンドにおいては、運用成果に応じて支払われる対価として、「成功分配(キャリー)」と「成功報酬」という言葉が使われます。いずれも運用成果に応じて支払われるという点は共通していますが、会計・税務上の取扱いは異なります。
成功分配は、LPS等におけるGPとLPの取り分、すなわち分配方法に関する仕組みです。そのため、成功分配が発生するかどうかにかかわらず、LPSの決算上の数値そのものには影響しません。一方で、成功報酬は、GPが運用の対価として受領するものであり、発生した場合にはLPSの決算に影響を与えます。両者は経済的に類似した機能を持ちますが、会計処理上は明確に区別する必要があります。
出資金100(うちGP出資10)、分配額250(投資利益150)という同じ前提のもとで、成功分配方式と成功報酬方式それぞれの場合の分配結果を比較します。
(出資額を超える利益に対し20%をGPに分配)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 投資利益 | 150 |
| 成功報酬 | - |
| 分配対象利益 | 150 |
| GP分配 | 52 |
| LP分配 | 198 |
成功分配方式では、利益のうちGPの取り分が大きくなりますが、これはあくまで分配方法の違いであり、LPSの決算上、成功報酬のような費用は発生しません。なお、GPがLLP等を通じて個人の場合には、所得区分によっては、大きなタックス・メリットが生じる場合があります。
(投資利益に対し20%(税込)をGPに支払う成功報酬)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 投資利益 | 150 |
| 成功報酬 | 30 |
| 分配対象利益 | 120 |
| GP分配 | 22 |
| LP分配 | 198 |
成功報酬方式では、成功報酬がLPSの費用として計上され、その後の残利益が出資比率に応じて分配されます。このため、成功分配方式とは異なり、LPSの決算上の数値に直接影響を与えます。なお、成功報酬は消費税法上課税取引ですので、消費税の納付義務があります。
実務上は両者の区別が必ずしも明確でないケースも見受けられます。特にファンド組成時には、「売却時に利益が出た場合には成功報酬を支払う」といった大枠のみが整理され、具体的な計算方法や支払条件が契約書上、不明瞭なケース等もあります。
ファンド監査においては、次の点を確認することが重要です。
ファンド組成時には「2の20」(管理報酬2%、成功報酬20%)等の数値面のみがGPとLP等で決められ、それが、成功分配なのか成功報酬なのか、成功報酬ならば税抜きなのか税込みなのか等、明確でないケースがございます。そのため、ファンド組成時の段階から、契約書上で定義や計算方法をできるだけ明確にしておくことが、後日のトラブル防止や税務リスクの軽減につながるものと考えています。